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北大路魯山人

1883年、京都に生まれた北大路魯山人（本名・房次郎）は、明治から昭和初期にかけて活躍した稀代の芸術家です。陶芸をはじめ、漆芸・書・絵画・篆刻など幅広い分野で独自の才能を発揮し、その作品群は今もなお、高く評価されています。

幼少期は里子として幾つもの養家を転々とする複雑な環境に育ちましたが、その過程で様々な生活文化に触れ、美食や器への関心を深めていきました。青年期には書や篆刻の才能を認められ、やがて骨董の世界へ。1921年には骨董商を営みながら会員制の料亭「美食倶楽部」を開き、これが後の名店「星岡茶寮」へと発展します。

「料理には、それを引き立てる器が必要」との信念から陶芸に本格的に取り組み、志野、織部、備前、信楽などの多彩な技法を用いた優れた作品を数多く世に残しました。器は料理と一体で完成するという考えから、「食器は料理の着物である」という名言を残し、その思想を体現する作品は、今も料理店などで使われ続けています。

1959年、76歳でその生涯を閉じましたが、美食と美術を融合させた独自の世界は、今なお人々を魅了し続けています。