コレクション: 浜田庄司
1894年、神奈川県川崎市に生まれた浜田庄司は、東京高等工業学校窯業科に進学し、在学中に河井寛次郎と出会ったことから陶芸への道を深めていきました。卒業後は京都市立陶磁器試験場に入り、富本憲吉や柳宗悦、バーナード・リーチらと交流を重ねます。1920年にはリーチと共に渡英し、セント・アイヴスでの作陶生活を経験。そこで得た堅実な信念と英国陶芸の伝統は、以後の制作に大きな影響を与えました。
帰国後の1924年、柳宗悦と河井寛次郎を引き合わせ、やがて「民芸運動」の中心人物として活動。1926年には生活に根ざした工芸を目指し、栃木県益子に拠点を構えます。当時無名に近かった益子の地を陶芸の里へと導き、厚手の器に温かみを宿す独自の作風を確立しました。
浜田の作品は、太い筆で勢いよく描かれる絵付けや、柄杓で釉薬を大胆に流しかける手法が特徴です。益子の土の素朴さを活かし、赤絵や鉄絵を取り入れた力強い作風は大らかな生命感に満ちています。民芸の理念を体現したその器は、日常に寄り添いながらも芸術性を兼ね備え、多くの人々に愛されました。
1955年に重要無形文化財「民芸陶器」の保持者として人間国宝に認定。1968年には文化勲章を受章するなど、日本を代表する陶芸家として国際的に高い評価を得ました。浜田庄司が築いた益子焼の世界は、「民芸益子焼」として広く親しまれています。
