ホーム 作家別カテゴリー さ行 （酒井田柿右衛門、等） 清水卯一

清水卯一

1926年、京都に生まれた清水卯一は、京焼の環境に育ち、青年期に陶芸家・石黒宗麿に師事して鉄釉の技法を学びました。その後、京都の陶磁器試験場で釉薬研究に携わり、終戦後は自宅に窯を築いて作陶を開始。1950年代には柿釉や油滴天目で注目を集め、鉄釉を酸化炎で焼成することにも成功し、独自の作風を確立しました。

1970年、滋賀県志賀町に蓬莱窯を築き、比良山の自然を背景に土や石を自ら探し求め、無数の釉薬や陶土を調合して研究を重ねました。その成果は黒や茶褐色だけでなく、青磁色や黄、緑に至るまで幅広く展開。透明感や艶の異なる多彩な表情を持つ鉄釉を生み出しました。

国内外での評価も高く、1962年プラハ国際陶芸展で金賞を受賞、日本陶磁協会賞、日本伝統工芸展総裁賞など数々の栄誉に輝きます。1985年には鉄釉陶器の技法で重要無形文化財保持者（人間国宝）に認定され、翌年には紫綬褒章を受章。日本を代表する陶芸家としてその名を確立しました。

清水卯一は2004年、77歳で逝去するまで、蓬莱窯で生涯をかけて鉄釉表現の可能性を追求しました。自然から引き出された多彩な色彩と気品ある器形が特徴です。