コレクション: 加守田章二
1933年、大阪府岸和田市に生まれた加守田章二は、京都市立美術大学で陶磁器を学び、富本憲吉や近藤悠三といった名匠の指導を受けました。卒業後は茨城県の日立で窯の設立に参加し、その後益子に移り住み独立。独自の作陶活動を展開していきます。
1960年代から70年代にかけて国内外の展覧会に招待出品し、1967年には日本陶磁協会賞と高村光太郎賞を受賞。さらに1974年には芸術選奨新人賞に輝くなど、その革新的な造形は広く注目を集めました。
加守田の作品は、従来の益子焼が持つ素朴さを超えて、土そのものの質感を生かした新しい表現を切り拓いた点に特徴があります。炻器を中心に、曲線的な彫文や彩陶などを取り入れ、施釉に頼らず土肌を前面に出す造形は強い存在感を放ちました。特に半倒炎式角窯を用いた焼成によって生み出される独特の風合いは、益子に新たな流れをもたらし、多くの作家に影響を与えています。
わずか49歳で逝去しましたが、その短い生涯で示した表現の自由さと実験精神は、現代陶芸において伝説的な存在となりました。加守田章二の作品は、今もなお土の持つ力強さと造形の美を伝え、見る者を惹きつけ続けています。
