コレクション: 鈴木五郎
1941年、愛知県豊田市に生まれた鈴木五郎は、16歳から作陶を始め、早くからその才能を示しました。20代にして日展や朝日陶芸展で入選を重ね、静岡県知事賞や最高賞を受賞するなど、若くして注目を集めます。1969年には渡米し、ロサンゼルスで個展を開催。そこでアートとしての陶芸と出会い、従来の枠にとらわれない自由な表現を追求する契機となりました。
帰国後は桃山陶芸を深く学びながらも、単なる模倣ではなく独自の造形を展開。志野や織部といった伝統の様式に新たな感覚を加え、現代的な感性を宿す作品を生み出しました。特に、限界に挑むような大皿や大壺は圧倒的な存在感を放ち、土の可能性を極限まで引き出しています。そこには、素材を知り尽くした確かな技術と、土と遊ぶような大胆な創造力が融合しています。
「人のやらないことをやる」という信条のもと、多彩な表現に挑戦し続けた鈴木は、2001年には日本陶磁協会賞を受賞。以後も国内外で個展を開催し、その革新的な作風は高く評価されました。
鈴木五郎の作品は、伝統と革新の間で常に新しい陶芸の可能性を切り開いてきました。力強さと遊び心をあわせ持つ器は、観る者に強い印象を与え、現代陶芸のダイナミズムを象徴する存在といえます。





