コレクション: 藤田喬平

1921年(大正10年)、東京府豊多摩郡大久保町(現・東京都新宿区百人町)に生まれました。
東京美術学校で彫金を学んだのちガラス工芸へと進み、金箔や銀箔をガラスに溶かし込む独自の技法を確立しました。この新しい表現は従来の工芸の枠を超え、ガラスという素材に豊かな生命感を宿すものでした。

代表作のひとつ「飾筥(かざりばこ)」は、光を抱き込むかのように繊細で華やかな存在感を放ちます。
また、「流動ガラス」では、素材そのものが流れ動くかのような造形でガラスに新たな表情を与え、どの作品も単なる装飾品ではなく、自然の息吹や人の感情を映し出す器として高い評価を受けています。

1970年代にはヴェネツィアでの制作を開始し、「手吹ヴェニス」シリーズを生み出しました。

その後も国内外で数多くの個展を開催し、華やかでありながら凛とした作品を発表し続け、日本工芸の伝統を継ぎながらも新しい美を切り拓いたものです。

1994年に勲三等瑞宝章、2002年には文化勲章を受章。世界的にも高く評価され、2004年(平成16年)、83歳でその生涯を閉じるまで、藤田喬平の創作は常に挑戦と革新に満ちていました。