コレクション: 隠崎隆一

1950年、長崎県福江市に生まれた隠崎隆一は、大阪芸術大学で学んだのち、備前焼の人間国宝・伊勢﨑淳に師事して陶芸の道を歩み始めました。伝統的な備前焼の技を基礎としながらも、独自の造形感覚を加えた表現は、従来の枠を超える現代的な陶芸として高く評価されています。

1990年代以降、数々の権威ある賞を受賞し注目を集めます。1995年にはMOA岡田茂吉賞優秀賞、翌年には日本陶磁協会賞を受賞。その後も、2008年に智美術館大賞「現代の茶陶」展優秀賞、2009年に金重陶陽賞、2015年には毎日芸術賞、さらに日本陶磁協会賞金賞と、受賞歴はいずれも現代陶芸を代表する作家としての実力を示すものです。

隠崎の作品は、力強さの中に繊細な感性が宿り、伝統的な備前焼の土味を活かしながらも独創的なフォルムを展開する点に特徴があります。その大胆な造形と奥行きある表情は、国内外のコレクターから高い支持を得ており、備前焼の可能性を大きく広げる存在として知られています。

伝統と革新を自在に行き来し、独自の芸術性を追求し続ける隠崎隆一。彼の作品は、現代の陶芸シーンにおいても唯一無二の存在感を放ち続けています。