コレクション: 鈴木 治

1926年、京都市東山に生まれた鈴木治は、幼少より陶芸の世界に親しみ、父からろくろの技を学びました。京都市立第二工業学校窯業科を卒業後、戦後間もない1948年には八木一夫や山田光らとともに前衛陶芸家集団「走泥社」を結成。伝統にとらわれない自由な造形表現を追求し、日本陶芸界に新たな潮流を生み出しました。

1962年、国際陶芸展で金賞を受賞して以降、国内外で評価を高め、1983年には日本陶芸展で日本陶芸展賞を受賞。翌年には第1回藤原啓記念賞を、1985年には毎日芸術賞を受賞するなど、その革新性は広く認められていきました。さらに1987年には京都府文化賞、1998年には日本芸術大賞を受賞するなど、多くの栄誉に輝きました。

彼の作品は、鳥や馬、雲といった自然のモチーフを抽象化した造形に特徴があります。信楽の土に赤化粧を施した作品や、澄んだ青白磁の器形は、実用性を超えた造形美として高く評価されています。独自の感性で生み出された作品は、彫刻的でありながら陶芸の本質を強く感じさせる存在感を放ちます。

長年にわたり走泥社を牽引した鈴木治は、1998年の「走泥社京都展」を最後にその活動を終え、翌1999年には朝日賞を受賞。2001年、75歳で逝去しましたが、革新的な精神と作品は今もなお、現代陶芸に強い影響を与え続けています。